Inside Voice|聖和学園 加見成司監督・ドリブルの先にある、人間力—ピッチで磨くのは、技術だけじゃない―
- Football Eastjapan
- 5月26日
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更新日:5月30日
「“聖和らしさ”の根底にある想いを、ぜひ言葉で届けていただきたい。そんな想いから、当メディア最初のInside Voiceは尊敬する加見監督にお願いをしました。加見監督の語る聖和サッカー是非ご一読ください。」
寄稿:聖和学園サッカー部 監督・加見成司
私が聖和学園高校男子サッカー部の監督になり、一番大切にしたいと考えたことは、「個の育成」です。それを体現するためには、ボールを自由自在に操るテクニックは必須だと思い、ドリブルを中心に日々の練習で磨き上げてきました。

また、技術だけではなく個性は人それぞれです。スピードがある選手、体が大きい選手、または小柄な選手・・・など様々な特徴があって良いと思います。そういった選手たちが個性を大切にしながらも技術を高めることで、より素晴らしい魅力ある選手になると考えています。昨今、様々な情報が集まりやすく、サッカー界も戦術化やデータ化の波が加速しております。当然それらの重要さも重々理解しています。しかし私自身はボード上の話ではなく、選手一人一人が自ら考え、判断し、表現することこそサッカー選手としてや一人の人間として必要なことだと思っています。そうした自立した選手がチームとして機能し、成長していく姿を毎年楽しみにしています。

サッカーに限らず、言われたことだけやるのは簡単かもしれません。しかし、社会に出たらそれだけでは通用しません。聖和学園高校男子サッカー部での活動を通じ、「人間力」も高めていってほしいという想いも強くあります。部内での活動や寮生活などを通じ、自分で考え、しっかりと自分の意見を伝える。その中で、自分の意見を伝える為の責任も生まれてきます。そうした「大人と会話が出来る」人間に育っていってほしいと思います。現在、スポーツ界には素晴らしいアスリートが沢山います。その多くが、人としても魅力があると思います。聖和学園の選手たちにも人として成長し、より良い選手になってほしいと思います。

聖和学園といえばドリブルというイメージが今は定着していると思いますが、その根源として「1対1」には拘りを持っています。サッカーの局面において1対1のシーンが一番見応えがあると思います。その勝負に勝つ為にドリブルというスキルを聖和学園では重視しています。また、ディフェンスでも同じです。相手に抜かれたくない、ボールを絶対に奪う。そういった気持ちが大切です。そうした攻防の中から、「もっと上手くなりたい」「次こそ相手を抜いて点を決めたい」といった向上心は勝手に出てきます。上手くなるためには誰よりもボールを触る。サッカーが大好きである。成長する選手の必須条件だと思います。ここだけは時代が変わっても決して変わらないことです。

最後になりますが、このようなスタイルだと勝負に拘っていない。と思われがちですが、私たちはこのスタイルこそが一番勝てると信じて日々取り組んでいます。勿論、その代の特徴によって変化はありますが、そういった積み重ねが結果的に魅力あるサッカーだと評価して頂けるのであればこんなに幸せなことはありません。これからも聖和学園は聖和学園らしく戦っていきたいと思います。

【加見成司(かみ・せいじ)監督 略歴】
1972年生まれ、千葉県出身。
市原緑高から仙台大学へ進学し、卒業後は名古屋グランパスエイトに入団。
現役引退後は指導の道へ進み、2003年より聖和学園男子サッカー部監督に就任。
「記憶に残るサッカー」を掲げ、個を活かすテクニカルなスタイルを追求。
SNSや動画配信を通じて全国的な人気を博し、“聖和サッカー”として多くのファンを惹きつけ続けている。


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